両国に夢の家という飲み屋を開いた柳湯のお染が、突然行方不明になった。三日月傷のお殿様早乙女主水之介が、霧島京弥と遊び人の勘吉にお染のひいき筋を洗わせると、平戸屋という回船問屋の主人六右衛門も行方知れずになっていると判った。船宿川万の娘お良は平戸屋の一人娘おしまと踊り仲間、主水之介のため平戸屋にさぐりを入れる役を買って出るが、番頭清兵衛の邪魔が入って失敗。数日後、平戸屋の主人六右衛門とお染が抱き合い心中の姿で、大根河岸にあがった。主水之介はこの心中死体から何事かを見抜いてか、長屋の連中の協力を求め、平戸屋を見張らせた。その報吉によると、平戸屋では穀物問屋十文字屋銅右衛門と問屋西海屋市兵衛の預かり荷を何処かへ移し、その後、番頭清兵衛が深夜平戸屋を訪れたことなどが判った。清兵衛、銅右衛門、市兵衛のつながりを知った主水之介は、三人の集まる料亭松葉屋に乗り込んだ。その帰途主水之介は銅右衛門の命をうけた地獄道場の刺客に襲われた。家に戻った主水之介は奉行所の古文書を調べたが、「うん、十年昔か……」と謎のような言葉を吐いた。その後、主水之介は一目置くほどの腕前の浪人檀造酒蔵と会った。銅右衛門が雇った刺客である。大森のある料亭で、清兵衛が平戸屋の娘おしまに挑みかかった。清兵衛は十年前の平戸屋の秘密をネタに、おしまを手ごめにし、平戸屋の財産を手に入れようという魂胆だが、銅右衛門の凄じい唐手を浴びて絶命した。一方、主水之介の妹菊路が何者かに呼び出され、行方不明になった。そこで主水之介は平戸屋の根岸の寮へ乗り込み、銅右衛門に向かっておしまの父六右衛門は唐手で殺されたのち、抱き合い心中させられたこと、また六右衛門は十年前、銅右衛門や清兵衛らと禁制の品を密輸した仲間だったことをあばいた。おしまは父の罪におののき、銅右衛門のいいなりになっていたのだ。主水之介の愛刀が床の間の柱を斬ると宝石、麻薬などが散乱した。京弥が菊路を助け出したころ、今は主水之介の味方となった造酒蔵の必殺剣が嵐のように荒れ狂うのであった
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