2012年冬季 TBS 日剧SP 田辺礼子(真矢みき)は、総合病院内のホスピス病棟の主任看護師。患者が残り少ない人生を少しでも痛みや精神的な不安を感じることなく、質の高い生活が送れるようさまざまなケアに心を配ってきた。礼子にはある信念があった。人が生きてゆくために一番大切な力は希望。そしてそれはどんな時にも必ず見つかる、と。 久々の休日、夫の史昭(鶴見辰吾)と釣りに行った礼子はふと胸騒ぎを感じて病院に戻る。予感は的中。胃がん患者の三上房江(正司照枝)が吐血して倒れていた。一時は危篤かと思われたが、礼子が房江の趣味であるコーラスの録音を聞かせると、奇跡的に持ち直した。若い看護師の西村紗希(本仮屋ユイカ)はそんな礼子を尊敬すると同時に、自分にはこの仕事はとても務まらないのではないかと不安に思う。 礼子には今、ホスピスで気になる患者が3人いた。そのひとりである末期の肝臓がん患者、土屋尚雄(遠藤憲一)が無断でホスピスを抜け出し、駅で倒れて市民病院に担ぎ込まれた。身寄りもなく、生活保護を受けていた土屋は自暴自棄に見えた。 子宮頸がん患者の小池比佐子(石田ひかり)には、春から小学校へ通う息子の直人がいた。「入学式、一緒に行こうね」と屈託なく話す直人に病気のことをどう伝えたらいいのか…比佐子は悩んでいたが、「やりたいことがもう一度出来た」という房江の言葉に、比佐子も「家に帰って直人と過ごしたい」と強い希望を持つ。それは比佐子の病状からは厳しい選択だったが、礼子は出来る限りのサポートを約束する。 もうひとり、乳がん患者の北山君子(岸本加世子)は、「ブライトフラワー」という花屋を5店舗経営するキャリアウーマン。毎日のように部下にてきぱきと引継ぎをしている。あくまで前向きな北山だったが、彼女には離婚によって引き裂かれたままの娘・里香(黒川芽以)がいた。その娘と仲直りできたと礼子と紗希に笑顔で話す北山。が、誰も里香の姿を見た者はいなかった。 そんなある夜、土屋がホスピスの屋上から飛び降りようとした。巡回中だった礼子が発見し、幸い大事には至らなかったが、礼子の熱意に負け、土屋はこれまで口を閉ざしていた過去を語り始める…。常に患者に寄り添い続ける礼子のサポートで、頑なだった患者も、次第に心の中にある“希望”に気づいてゆくのだった。