Coming-of-age story about Sachi, who is fascinated by cosmetics and therefore shoplifts. 冒頭、女子中学生らしき二人が登場し、フワフワとした艶めかしさに軽くリビドーを刺激された。この時点ではヤらしい下心がムクムク。何しろ、江口のりこ主演の『お姉ちゃん、弟といく』（'06）や『ユリ子のアロマ』（'10）でフェティッシュなエロを追求、眼福を届けてくれた吉田浩太監督の作品だったからだ。 が！ 待っていたのは、エロではなく、"ちょいとエエ話"であった。 すなわち、友人をデートに送りだし、ひとり、トボトボと地元の古風な商店街を帰るヒロイン。出来心から万引きをやらかして、店主に見つかってしまうのだが、下心を抱いた、こちらの穢れたココロを思わず恥じたくなるような展開へと進んでいくのだ。 店主役でイイ味出してる芹澤興人は、山下敦弘の『中学生日記』（'07）や今泉力哉の諸作でもお馴染み。インディーズ映画界の川谷拓三、はたまた日本のルイス・ガスマン（←プエルトリコ系アメリカ人の名バイプレイヤー）の称号を与えたい。吉田監督自身の経験をもとに、彼の地元の下町で撮影。今回は極力エロを封印しているのがチト淋しいが、まあ仕方ない。ラスト、『墨田区京島３丁目』のタイトルの意味が浮かび上がってくる構成に、ニンマリとさせられた。ヒロインに扮したのは、現役高校生の池之上真菜。彼女の翳りを帯びた表情が、青春とは"不機嫌な一季節"であることを示している。その季節に二度と戻れぬ者にとってはそれもまた、ひとつの眼福だ。