九州筑豊の炭坑夫武田勇は、落盤事故で死んだ父の遺言で母を残して上京することになった。途中汽車の中で勇は、まだ幼い妹と別れ東京の工場に転任する女工ゆきを知り、お互に将来の夢を語り、励まし合った。ゆきは、東京でバレーボールの選手として特訓を受けることになっていた。勇は、都内を職を求めて転々とするが、中学出の彼を雇う所は仲々なかったが、偶然に暴力団唐沢組の仕事を引き受けることになった。唐沢組は、工場拡張予定地になっている漁師街の立ち退きと、漁業補償の問題を請負い、それに伴う利権を得ようとしていた。母に送金するために、唐沢組のお先棒をかついだ勇は仕事の内容を知り、また自分が張った鉄線のために住人の一人クズ安が死ぬに及んで、唐沢組に金を帰して拡張予定地に住む往民の一人となって働くことになった。そんな勇の正義感を見込んで目をかけてくれたのは、テキヤの親分浅川源造とその娘あや子だった。勇は、浅川一家の東一夫の指導を得てテキヤの修業をつかんでいたが、浅川一家の高市の庭場を狙う唐沢組のいやがらせは激しさを加えていった。元浅川一家の幹部で、今は堅気になって漁業組合長をしている上田常吉は、源造の協力を得て補償問題と土地立退きの交渉をしていたが、唐沢組によって殺されてしまう。そして、源造も一人唐沢組に乗り込むが、なぶり殺しにされてしまう。遂に堪忍袋の緒を切った勇は、封印された常吉の長ドスを持ちだすと唐沢組へと殴り込んだ。
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