ひんやりと静まりかえった夜明けの砂漠を歩く一人の若者。遠くの湖に、花で飾られた船が浮かんでおり、娘たちの歌声が聞こえる。岸辺に走り寄ると船は消え去った。若者は、そばに乗り捨てられていた小丹をこぎだした。太陽が昇り、若者は気を失った。織物の名手だった若者は、何不自由ない日常に飽き足らず「湖の向こうにお前の幸せがある」という老人の占いで旅に出たのだ。若者は対岸の古城で目を覚ました。そこには、月と雪という二人の王女が住んでいる。清純でやさしい雪が若者を見つけ、助けたのだ。雪に紹介された姉の月は、息を呑むような妖しい美しさを持つ女性だった。若者は雪に惹かれながらも、月の魅力に抵抗できず、誘われるまま彼女の寝室に入った。若者は二人に織物を織った。月には素晴らしい物が出来たが、雪には思う通りの物が作れない。ある日、城の外に出た若者は、月と会い、川の中で、花畑の中...
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