羽仁進監督の'54年作品『教室の子供たち ～学習指導への道』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。 家を出て学校へ向かう小学生の男子。町の俯瞰移動で学校へ。タイトル。「私の勤めている小学校は周りを町工場に囲まれています」というナレーション。次々と登校してくる子供たち。先生が来る前に、教室で遊ぶ小学二年生。若い実習生を従えて教室に入ってきた先生（ナレーションの話し手）は、今日の授業を実習生がやることを生徒に伝えます。立って挨拶する子供たち。実習生は一生懸命に話しかけますが、その話を聞こうとせず横や後ろを向く子供たち。教員室に戻って、自分の経験を実習生に話す先生。男の先生の話を萎縮して聞く子供たちの姿に、そういう授業はしなくないと語るナレーションがかぶさります。身体検査の風景に、体の成長と子供の生活態度に関係があるというナレーション。一人一人の生徒の名前を挙げながら、その生徒の生活態度が語られていきます。知能検査の風景。黒板に回答を書く子供。答えを見合う子供。給食当番の仕事ぶり。他の子に自分が見て来た映画の話を熱心にする女の子。手紙の書き方の授業風景。消極的な青木くん、西山さん、谷川さんを気にかける先生。休み時間を一人で過ごす谷川さん。彼女の家を家庭訪問する先生。西山さんの家は昼間両親がいず、学校では見られないのびのびとした姿で近所の子と遊び、青木くんも父との二人暮しであることが語られます。グループ活動の風景。勉強はできますが協調性はない子。うまくいっているグループの中で、熱心に作業をする青木くんと、仲間に次第に打ち解けていく谷川さん。一日の授業を終えて生徒の答案を見ながら、生徒一人一人の個性を感じる先生。合奏をする子供たちの風景に、子供たちの個性をこれからも伸ばしていきたいと語る先生のナレーションがかぶり、映画は終わります。 40分足らずのドキュメンタリーでしたが、その年のキネ旬３位を得るなど、非常に高い評価を受けた映画であり、山田宏一さんの批評でも名前が出て来る映画です。当時これほど子供の姿を生き生きと捕えた映画は珍しかったのでしょう。今見ても新鮮な映画です。