このところ、バカに景気のよい“駅前”通りの裏手に陣どっているマージャン屋、満貫荘では、大きなパイを型どった看板をぶらさけ、大繁昌であった。主人徳之助は派手なジャンパーを着てイキがってはいるものの、女房の景子には頭が上らず浮気も出来なかった。近所にはミカン売場の孫作とアイデア・センターの次郎らの悪友連がいた。次郎は人工胸毛など、何かと珍妙な新製品を発明してひとりエツに入ってはいたが、いつも失敗ばかりで、そのつど出資者の孫作をヒヤリとさせた。そんな時、グッと艶っぽい染子が女ぐせの悪い亭主三平にアイソをつかし、旧友の景子の所に転がりこんできた。こうなると主人徳之助を始め店の常連の目つきもオカシクなってくるというもの。一方亭主の三平は、昔の主人孫作の口ききで次郎の事務所で働くことになったが、バーのホステス鹿子に熱をあげ始めた。この頃から満貫横丁では大騒動が続...
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