河内松原に住む“河内のオッサン”こと徳田松太郎こと通称、徳松は三十過ぎて、まだ一人者の白タクの運転手。喧嘩早くて、粗骨者だが、河内男の心意気を身につけた好漢である。徳松は、当然のごとくバクチ好きだが、残念ながらバク才はない。ライバルの地主の息子、忠三郎のカモになって、いつも身ぐるみ剥がれて丸裸の朝帰りである。そんな徳松にでも好意を寄せる女がいる。花火工場に勤める花子は、徳松にバクチをやめさせようと常々忠告するのだが、自らバクチの天才と思い込む徳松には馬耳東風である。ところがある日、その徳松に異常現象が起きた。どうした風の吹きまわしか、一世一代のツキがまわって来たのだ。誰が立ち向っても歯がたたない。あまりの勢いに呆気にとられる一同を前に、得意満面の徳松--。そこへ花子が現われた。花子は徳松の鼻柱を折るべく勝負を挑んだ。かくて、一同注視の中で、二人の差し...
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