風俗嬢の「女」が九州弁丸出しの精神科医と電話で会話をしている。会話の中身によると、かつての同窓生だったゲイの「男」の社会科教師が退職して彼女のマンションに転がり込んでくるのだそうだ。女と男は高校時代はべつに交友も無かった。同窓会で、女が風俗嬢をやっていることを皆に告げたときの偽善的な空気に抗議するために、男が突然席をはずして女装して戻ってきた、という事件があり、その日を境にした交流だった。 社会の外れ者である二人に仄かな恋のごときものが芽生えたように見えたころ、男の恋人(もちろん男性)が追いかけきた。男は女の部屋を出て、マンションの廊下で応対するのだが、次のような二人のやりとりを女は聴いてしまう。 男の恋人「あの女が好きになったのか?」 男「いやだよ、あんな汚い女」 風俗嬢の「女」が九州弁丸出しの精神科医と電話で会話をしている。いつもと変わらぬ様子。男も出て行ったようで、またかつての日常が戻ってきたようだ。でも、ひとつだけ違っている点がある。それは、電話をしながら彼女が飲む薬の量が大量に増えたことだ。
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