笠井武太郎は、日本ブラウン管の守衛をしているが、守衛とは仮の姿で、本業は雲霞流の数少ない正統派の泥棒である。彼には、気の強い女房うまと、八歳になる一人息子紋十郎があった。ある日、今は足を洗って畳屋を営なんでいる親分の小田松五郎の家に現われた武太郎は、かつて小田松が破門したギャングのような泥棒ケムンパスの竜が近く出所するらしいことを告げた。そしていよいよ竜が出所する日がきた。どうやら銀行ドロを働くらしく、昔の仲間デン徳や、アパ敬を引き込んだ末、、小田松にも娘美代をだしにして仲間に加われと脅迫してきた。笠井は、義理ある親分のために一肌ぬぐ覚悟をした。決行当日、銀行に鬼山刑事の姿を見た竜一味は一目散に逃げだした。これは、武太郎が盗難訓練と称して銀行と警察に芝居を仕組ませたもので、ニセモノと信じていた鬼山を始め、銀行員たちは本物と知ってびっくり仰天した。一方...
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