母の遺骨を胸に故郷―沖縄に帰り着く17歳の少年テル(松田龍平)。そこには、祖母、叔母、そして従姉妹のマレニ(末永遥)が待っていた。父親はテルがまだ幼い頃に家を出たまま行方がわからない。母の故郷ではあってもテルには馴染みのない土地。目に映るものすべてが珍しい。しかもマレニはユタ(=霊能師)になるための修業中の身。他の人間には見えないものが見えるらしい。ある日、キジムナー(=精霊・斉藤和義)に誘われて家を出るマレニを追って、テルも行き先の見えない旅に出る…。 沖縄を舞台にした映画がここ数年目立っている。東京を頂点とする殺伐とした都市型社会の対極にある場所として、アニミズムの地―人間と神々が共存し、生と死の境目を行き来する島―が映画制作者や観客を魅了し続けているのかもしれない。ファンタジーの要素をふんだんに取り込んだ『八月のかりゆし』は、戦争で多くの血が流...
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