小さな古本屋「田辺書店」の店主・岩永幸吉(北大路欣也)は、かわいい孫の稔(須賀健太)と息子の嫁・梨沙子(藤田朋子)と一緒に同居中。息子は既に他界していた。 息子の死は未だ事故か自殺かはっきりせず、家族に重くのしかかっているが、幸吉は孫と嫁のためにおいしい食事を作りながら日々、優しく見守っている。 ある日事件が起きる。心臓をひと突き、手には38の文字が切り刻まれた遺体が見つかる。凄惨な事件はさらに続き、全て同じ方法で殺されていた。 そんなある日、「田辺書店」に亡き父の蔵書を全て提供した安達明子(加藤あい)がある手紙を持ってやってくる。手には明子の父親が書いた未完の小説「淋しい狩人」を持っていた。10年前その作者である明子の父親は山で遭難していた。小説の中で起きる事件の内容と、今回起きた事件が酷似しており、しかも、この手紙が明子のもとに届いたという。その手紙には未完の小説を愛し、物語の結末をよく理解している自分こそが現実世界で小説に描かれていることを表現したいと書かれていた。その続報はテレビや新聞で確認してほしいと手紙の送り主は語っているのであった。 幸吉は事件のことを息子の友人であった刑事・樺野俊明(田辺誠一)に尋ね、手紙の存在、小説の存在を伝える。すると捜査は新たな局面を迎えることとなるのだった。 果たしてこの小説に隠された悲しい事実とは。事件を起こし現代の闇に潜む本当の諸悪の根源とは、実は自分自身であるのかもしれない…。
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