私は、ずっと出口を探している。 この日本を覆う空気、あらかじめ全てをあきらめてしまったかのような虚無、あるいは、そこから何も生み出しようもない、自分以外のモノへの思考停止の依存は何なんだろう? 高度資本主義の強迫から生まれた、拠り所を求めて浮遊する個? 確かにそうかもしれない。国家、会社、学校、あるいは家族という近代の物語が崩れていくと同時に個人の価値観が問われ始めた。私たちは漂っている。 でも、拠り所なんていらないんだ、ということをなぜ、人は言わないのだろう?「大きな物語」はもう終わったのだ。自らコントロールできない物語など、私はいらない。自律した個人同士のミクロな関係性にこそ、出口があると思う。そして、そこからはじめて「私たちの物語」が始まるのだと思う。 この作品の主人公、雨宮さんは、民族派右翼思想に救われたと言う。社会と自分の接点を見い出し、虚...
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