『人コロシの穴』がカンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門で評判を呼んだ池田千尋の最新作。思春期の女性に向ける繊細な眼差しにおいて、群を抜いた資質を発揮する池田は、ここで離婚した母(渡辺真起子)に育てられた姉妹が祖父の死に立ち会うなかで起こる、さまざまな葛藤に目を向ける。とりわけ、13歳の姉(伊藤沙莉)が、深夜、川を釣り舟で漂い、追いかけてきた母の新しい恋人(妹と違い、姉はなつけない)と対峙する場面に漂う叙情が素晴らしい。少女は水に浸かりながら、祖父の形見のハーモニカを追悼の想いをこめて吹くのだ。なお池田は初長篇作『四谷怪談』も公開待機中である
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