大阪に本家を置き、全国に配下六〇〇の団体を持つ大組織石黒組の若頭山崎新一郎が突然交通事故で死亡した。石黒組若頭の地位は次期石黒組々長の椅子が約束されているだけに、石黒組若頭補佐・浅倉組々長と花村組々長の二人は互いに、若頭の椅子を狙って目を光らせていた。その浅倉組と北九州竜野組とは親子の盃を交し、頻繁に行き来していた。九州には、血縁で結ばれていたもう一つの組、大場三兄弟という兇暴な兄弟を中心にした藤岡組があった。藤岡組は大組織の傘下に入っておらず、そのため竜野組に押され、かろうじて土木業で凌いでいる。竜野組若衆、根岸昇治と水沼啓一は行儀見習のため、浅倉組に預けられていたとき、朝倉組系津ケ谷組の若衆、相馬年男と意気投合、それ以来三人は、いつも一緒だった。ある日、啓一がカラオケで唄ったプロ顔負けの唄が元で三人はその場に居合せた大場兄弟と喧嘩となってしまった...
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