東洋評論の編集部に勤める野崎は、後輩である村瀬の訪問を受けた。野崎は村瀬を同僚の久美子に紹介した。久美子は作家・石丸市郎の娘であり、野崎は石丸家から久美子の弟・春雄の家庭教師に適当な人を見つけて欲しいと頼まれていたからだ。ある日、久美子の次姉で高畠夫人となっている信子が、石丸家に立ち寄った。石丸家の家庭教師に採用された村瀬は、玄関で信子と出会い、その美しさに圧倒された。その帰り、信子は東洋評論社に寄った。そして近くの喫茶店で野崎と久美子に、家庭生活の単調さと社会に出たい希望を打ち明けた。野崎は、信子の美しさに幻惑されながらも、洋裁店をやっている妹の綾子に相談してみようと言った。--編集長の野呂に誘われ、久美子は彼の自宅を訪れた。彼女は、母親を亡くして淋しがっている子供たちのいい相手になり、彼らになつかれた。それ以来、野呂と久美子の間は親近感を増していった。野呂は、信子に思慕をよせた野崎と、彼の若さにひかれた信子の二人の連れ立った姿を、東京駅で見かけてしまった。綾子は、信子に兄に逢わないように頼むのだった。雨の降る夜、静かな酒場の一隅で、久美子は野呂に愛を打ち明けた。だが野呂は「君は若い人と一緒になるべきだ」と言った。石丸家では信子と野崎の問題が家族に波紋を投じた。石丸は撫然として、信子の意志に任すべきだと主張し、久美子も賛同するのである。久美子は、野崎に信子の意志を尊重するようにと話したばかりなのだ。だが、それから後、野崎が久美子に渡した原稿用紙には「諦らめるのが本当なのかもしれない」と書かれてあった。--野呂と何のこだわりもなくテキパキと仕事を片づけていく久美子、そして野崎、久美子にフラれながらもなおファイトを燃やす村瀬、若人はすべてにこだわりなく、元気に楽しげである。
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