政子はナイト・クラブ“ゴールデンスラム”のマダムだ。クレー射撃場で秀夫と知り合う。彼は画学生で、射撃コーチのアルバイトをしていた。純情だった。帰りに早速、車に乗せてやり、接吻した。秀夫の姉はクラブのショーダンサーの良子だった。芸能倶楽部も主催し、秀夫が一人前の画家になる日を夢見ていた。画家の宮原と好き合っている。彼は妻と離婚し、良子を迎えようとしていた。--政子には夜の生活がむなしかった。清算しようと思っていた。秀夫には姉から仕送りを受けることが苦痛だった。二人はこの恋を育て、それをそれぞれの転機にしようと思い始めた。--クラブの持主牧村は政子をわがものにしたかった。孤児の彼女を今までに仕立てあげたのが彼だ。この日中ハーフはクラブをゆずることを政子にもちかけ、彼女の気をひいた。良子も政子の夜の生活を知るにつけても、この年上の女に弟を取られたくなかった。--ソボ・キトク。信州から電報がきた。すぐ秀夫がかけつけた。祖母はピンピンしていた。孫たちの顔が見たかったのだ。政子が秀夫のあとを追ってきた。“言捨ての森”という森で、二人は互いの気持をうち明けた。彼らは帰京し、ひそかに郊外のアパートに住んだ。政子のいないクラブは、すっかり客足がおちた。牧村は良子を呼び、彼女に政子呼びもどしの使者を命じた。別れさせなければ、秀夫が片輪になるかも知れねえぜ。良子も弟を返してもらいたかった。私と秀ちゃんの道はひとつですと政子は言いきった。良子は政子の気持がわかった。あなたにあげるといった。でも、政子は秀夫にだまってクラブへ帰り咲いた。牧村から秀夫を護るためだ。秀夫が迎えにきた。彼が用心棒たちに取り囲まれた時良子が銃を持って現れ、二人を逃した。--信州の祖母の家に良子が宮原を連れて帰ってきた。秀夫と政子の車もそちらへ向っていた。
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