文久三年、祇園祭も間近い夏、維新前夜の京都は尊皇、佐幕両派の対立で殺気をはらむ。長州浪士月形半平太は、勤皇派ながら独り開国論を唱えていた。だが先覚者たる彼は同志からも異端視され、裏切者として絶えず命を狙われていた。そうした折、半平太を頼って京に来た青年武士、早瀬辰馬は、岡崎幸蔵、岡田新平ら同郷の長州浪士から月形は同志離反と聞き驚く。彼は半平太の宿で刺客に襲われ、蘭医玄斎の許で手当を受ける。月形は岡田が自分と間違え早瀬を刺したものとにらむ。玄斎の娘ゆかりは早瀬を慕うようになるが、この頃、見廻組組頭の奥平文之進は同志の仇と早瀬に暗殺され、その折、彼が月形の着物を着ていたことから文之進を恋する芸妓染八は月形を仇と思い込んでしまう。月形に早計を戒められた早瀬は奮然、岡崎の許に去る。月形が情けをかける祇園の芸妓梅松は一筋に彼を慕うひたむきな女性。ある晩、三条河...
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