ここは横浜の寿町。もう60歳はいくつか過ぎた浮浪者の弦一郎は、港湾労働者の青年・晴男に「息子になってくれ」と言い寄っていた。晴男の兄貴分でサラ金業の幾雄は、この話に興味を持って弦一郎に事情を聞くと、弦一郎は半年前にゴミと一諸に三百万円の大金を拾ったのだが、その金で以前からの夢だった、戦災で亡くした息子と暮したい、たとえ仮の息子でもいい、普通の家庭を持ちたい、というのだ。幾雄は「弦一郎に五千万円の保険をかける。お前が受取人になるんだ。心臓が弱そうだから心臓に負担になるようなことをやればいいんだ」と気のり薄な晴男を承諾させてしまった。息子ができたら連れ合いが欲しいと弦一郎は、ヤリテ婆のナツを選び、さらに晴男に惚れているおカマのキーコが妹に志願してきた。そして晴男は、事情を全く知らない正太郎という子連れの保母・百合子と結婚。これで弦一郎の夢だった“一般家庭...
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